僕がなんでアンモニアが重要かと考えているかというと、有毒・可燃性・腐食性と厄介な性質を持っていて、かつ高温・高圧プロセスで製造するため、様々な観点から勉強できるからです。プロセスの設計から機器の材質選定、圧縮機の運転・保全等々たくさん体系的に勉強できるため、その出発点として非常にいい物質だと思っています。そして肥料や合成繊維等身近な製品の原料として生活でも重要です!今回はそんなアンモニアを紹介します!
性質
1.強い刺激臭で、有毒
これは常識ですね。高濃度のアンモニアは吸入すると死亡するリスクがあるので、取り扱いは要注意です!
2.可燃性ガス
アンモニアは酸素中で黄色い火炎を上げて燃え、窒素と水を生じます。燃やしてもCO2を排出しないため、アンモニアを燃料とする乗り物も研究されています。また、アンモニア燃料電池も注目されています。興味がある方は調べてみてください。
3.腐食性
銅・および銅合金に対して腐食性を示します。鉄や鉄合金に対しては腐食性は示しませんが、アンモニア合成プラントのような高温・高圧条件下では窒化や水素脆化を引き起こします。
用途
1.尿素
尿素の製造プロセスについてはざっくり紹介すると、CO2とアンモニアを高温・高圧で反応させ、脱水工程を経ることで製造できます。尿素の用途としては肥料が有名ですが、メラミンやヒドラジンの合成原料としても使われます。ヒドラジンは水処理用薬剤として脱酸素剤に使われていますね。
アンモニアプロセスと尿素プロセスが連続する場合、水素プラントから出るCO2の回収ユニットが設置されていることがありますね。CO2だって化学産業では立派な原料だし製品となり得ますよ!
2.硝酸
高校でアンモニア酸化法を習うのではないでしょうか。オストワルト法(アンモニアを白金系触媒下で酸化させる)で硝酸を得ます。
3.その他
これも一部は高校で習うような気がしますね。カプロラクタムやアクリロニトリルの原料として使われています。他には、ソーダ灰やシアン化ソーダにも使われます。
試験には関係ありませんが、常圧でマイナス33℃という比較的高温で液化するため、他の水素エネルギーキャリアよりも長期間の貯蔵や輸送が容易で、水素エネルギーキャリアとして注目されています。画像は近年開発が進められているCO2フリーアンモニアプロセスです。再生可能エネルギーから水素を作り、それを利用してアンモニアを作るプロセスですね。
https://www.jgc.com/jp/business/tech-innovation/environment/co2-free.html
製造法
化学工学の教科書にはよく載ってますし、高校生でもハーバーボッシュ法は知っていますが、紹介します。
原料となる窒素と水素を圧縮機で昇圧します。最近のプラントでは8~20MPaで反応させるようです。反応器の出口で冷却・凝縮され、液体アンモニアとしてプロセスから出ていきます。
反応に用いる触媒は酸化鉄系ですね。プロセスの省エネに寄与できるよう、もっと緩い条件でもアンモニアを合成できるような触媒が現在でも研究されています。また、反応場に電場をかけることで緩い条件でも合成できるよ、といった研究もされています。
原料となる水素や窒素の製造プロセスについては別の記事にありますのでよかったら見てくださいね
最後に
満を持して・・・といった感じでボリュームのある記事にしようと思ったのですが、思ったよりあっさりになってしまいました。一応エッセンスは漏れなく織り込んだつもりですので、参考になれば幸いです。
ご安全に!
コメント
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