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ボパール 最悪の事故

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事故・労災紹介
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先日、インドにあるLGポリマーズという会社でスチレンタンクからスチレンが漏れた事故が起きました。ガス漏れの影響は数kmにもわたり、数多くの方が病院へ運ばれたり亡くなった方もいます。インドの化学工場の事故ということでボパールの事故を思い出したので記事にしてみます。この事故はプロセス産業史上最悪と言われています。

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何が起きた?

1984年12月3日 真夜中過ぎ、インド、ボパールの殺虫剤プラントで約40トンの非常に毒性の高いメチルイソシアネート(MIC)が大気中に放出されました。結果、数千人の死者と十万人を超える負傷者を出すと同時に長期間の健康面、環境面や経済面に影響を与えました。直接事故の影響を受けた人だけでなく、事故の被害にあった人から産まれた子供にも影響が出たそうです。

どんなふうに起きたか?

  1. 作業上のミスで水がMIC貯蔵タンクに入った結果発熱反応が起こり、温度・圧力が上昇したことでタンクの安全弁が開いた。
  2. 現場や制御室にあるいくつかの重要計器が適正に作動しない状態になっていた。
  3. 冷凍システムは使用不可の状態で冷凍剤も取り除かれていた。
  4. 安全弁からのガスはメンテナンスのため停止中だった苛性ソーダスクラバーに流れて行った。
  5. そこからガスは、これもまた腐食した配管の更新待ちのため停止していたフレアスタックに流れた。
  6. 毒性ガスは処理されることなく大気に放出され、何十万人の人々がそれに曝されることになった。

※ここでいうスクラバーやフレアスタックは化学プラント内に設置されている、有害物質の除外装置です。詳しい内容は別記事にしようかと考えています。(需要あるのか?)

フレアスタックは、化学プラントにある細長い煙突みたいな物で、先端から火が出ているやつと書くとイメージしやすいでしょうか。プラントでトラブルが起きたり定修のタイミングは火が物凄く大きくなり、夜だと空が真っ赤に燃えているように見えます。

経緯を書いてみましたが、毒性の強い物質を扱っている、事故が起きたらとんでもないことになるという認識がなかったのでは?と感じます。計器のアラームが発報しない時点でどうかと思いますが、3つの安全装置が全て停止しているってどうなの・・・

事故が起きた背景

当時、MICの最終製品である農薬が世代交代で別系統の農薬に置き換えられつつありました。そのため、MICの工場は赤字であり、親会社共々新たな投資や安全教育訓練は殆ど等閑にされました。そのようなことから、会社の志気も落ち、規律も守られていない状態でした。また、先行する事故も複数件起こっており、それも全く活かされていませんでした。猛毒のMICを生産・貯蔵していることへの社会的責任を放棄している親会社(アメリカの企業)と運転を担当している現地子会社の共同責任が本当の原因と考えられます。

前回の不況時について書いた記事でも同じですね。不況だろうがなんとかして現場の安全を守れるように対策はしないといけません。また、現場の士気・規律は部署内で協力して高く保つようにしないと、小さな異常や不具合を見つけていてもスルーしてしまうようになります。

できること

プロセス内全物質の反応の危険性を理解すること。MSDSの反応性の章を読んで、運転手順書中の全ての反応に関する指示を十分理解し、 さらに安全システム(例えば、インターロック、リリーフ設備、スクラバー)がなぜそこにあるか、いかに機能するかということに精通すること。

計器に異常はないか、安全装置(インターロックテスト、安全弁や遮断弁等の作動試験)はちゃんと働くか定期的に確認すること。

危険物を貯蔵する容器内で、特にその物質が反応性に富む場合、温度または圧力が急上昇する時の緊急対応法を良く理解しておくこと。

まとめ

まとめると、取り扱い物質を含め自分のプラントについて深く理解すること、危険な状態で運転していないか把握すること。(安全装置が止まっていたり、バイパスさせたままになっていないか?)もしもの時の対策は万全か、対策通り対処できるか確認すること。くらいでしょうか。自分の感覚ですが想定訓練はかなり有効ですね。取り扱い物質の危険性や安全装置の設計思想等、担当プラントを理解するのにかなり役立ちました。(勉強になるかはシナリオを考える人の技量にもよります笑)

ご安全に!

コメント

  1. サム・ジーヴァ より:

    『失敗百選』にも載っている有名な事故ですね。
    プロセスフローなどで図解してもらえるともっと喜ばれるかもです。

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