高圧ガス学識対策 ガス各論(水素)

高圧ガス

各ガスに関する要点を紹介します!本当は最初にアンモニアの紹介をしたいのですが、順を追って説明するために原料となる水素を先にします。

性質

1.あらゆるガスの中で最小の密度をもち拡散速度が最も大きい
 このせいでフランジ等から漏れやすいです!そして漏れたガスが湿っていると簡単に静電着火します・・・

2.可燃性で、かつ発火しやすい
 前項と繋がりますが、最小発火エネルギー(MIE)が小さく静電気で発火しやすいです。
常温・常圧下での空気中でのMIEは約0.02mJ、酸素中では約0.007mJです。静電気のエネルギーはこれらよりはるかに大きい(放電の仕方によりエネルギーは異なりますが)ので、水素が漏れて噴き出た際に微粉や液滴と接触すると静電気で着火する可能性があります。

3.金属中に入り込み金属組織を破壊する
 これも水素の拡散のしやすさによるところが大きいです。原子の中でも最小である
水素は容易に金属組織へ入り込みます。特に高温・高圧の水素は金属中に浸透し、冷却時に金属組織内の微小空隙中に蓄積するため、水素ガスの高圧力と材料の冷却応力が加わって組織を破壊し内部に欠陥を残します。また、鋼材中の炭素と反応してメタンを生成し、水素浸食(式①)を引き起こします。しかし、クロムを5~6%含有するクロム鋼やステンレス鋼ではこの現象は起こりにくく、バナジウムやモリブデンなどを添加することで耐水素性が向上します。

Fe3C+4H→CH4+3Fe 式①

用途

 いっぱいあるので、細かく覚えてもしょうがないです。ざっくりした紹介に留めますので、興味ある方は調べてみてください。

1.化学品の原料
 例を挙げると、アンモニア、メタノール、硬化油、シクロヘキサン等々

2.燃料
 有名なのは燃料電池でしょうね。原理等ここでは紹介しません。他にはロケットの
燃料となったりもしています。

製造法

 水素の製造法って実は何種類もあります。有名なのは理科の実験で行う水の電気分解でしょう。これは燃料電池の逆反応をしていることになります。
ここでは工業的に最も使われている炭化水素の水蒸気改質についてプロセスごとまるっと紹介します。

以下、ざっくりフローの紹介です。原料にはLNGなり重質油なり色々使われています。

1.原料の脱硫工程
 原料中の硫黄分を、水添反応により硫化水素とし、吸着剤(主にZnO)を利用して精製します。これにより、脱硫工程より後段にある改質器の中に充填されている触媒への被毒を避けることができます。改質反応用の触媒は硫黄系のガスに触れると劣化するため、プラントとしての能力が下がってしまいます。

2.改質反応工程
 この工程では炭化水素にスチームを加え、高温下(750~900℃)で改質して水素や
一酸化炭素などを生成(式②)します。この反応は大きな吸熱を伴うため、天然ガスとスチームの混合ガスを外部から加熱する必要があります。そのため、混合ガスを通す改質管と燃焼バーナーから構成される改質炉が採用されます。また、改質管内部には触媒(Ni系)が充填されています。
 改質炉を出たガスは廃熱ボイラなどで200~350℃まで冷却され、次のCO転化工程に送られます。この廃熱ボイラで発生したスチームの大部分は改質用スチームに利用され、残りは外部にエクスポートされます。

CxHy + H2O ⇔ xCO + (x +0.5y)H2 式②

3.CO変成工程
 この工程では改質ガス中の一酸化炭素をスチームと反応させ、さらに水素を増量生成します(式③)。この反応に使われる触媒は反応温度を何度程度に設定するかで変わってきます。入口温度300℃程度の場合は鉄ークロム系触媒を、入口温度200℃程度であれば銅系の触媒を使用します。この反応器を出たプロセスガスは熱回収工程を経た後、ガス精製工程へ送られます。

CO + H2O ⇔ CO2 + H2 式③

4.精製工程
 CO変成を出たプロセスガスにはCOやCO2、微量の炭化水素等不純物が含まれているため精製が必要です。精製にはPSA(Pressure swing adsorption)を利用するのが一般的です。この工程では加圧と脱圧を繰り返すことで、塔に充填されている吸着剤に不純物を吸着させ、水素の純度を製品の規格値まで上げます。また、ここで吸着させた不純物はPSAのブローダウン工程で吸着剤から脱離され、改質炉の燃料として利用されます。

最後に

研究室で学んだ内容がほとんどで、各工程で最低でも一記事づつ書けるなぁと感じました。記事のボリュームがえらいことになるのと、試験対策の趣旨から外れるのでかなり内容を省略しました。
今回は水素を紹介したので、次は窒素です!

ご安全に!

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